

足の裏のくぼみまで清潔そうな女性
雪深い温泉地に訪れた男と、その地で芸者として身を立てる少女との物語。川端康成の代表作のひとつです。親譲りの財産でほとんど無為徒食に近い生活をする主人公の島村は、逗留先で駒子と出会い、互いに惹かれ合います。駒子は島村に妻子があるのを知りながら、その純真さでもって島村に愛情を
示し続けます。しかし島村は、駒子の若さや烈しい感情に美しさを見出すことに喜びを感じながら、まるで孤独に美術品を愛でているかのようで、駒子の気持ちに応えることはありません。そして駒子の「なにか」である男の恋人・葉子。登場回数が少ないにも関わらず、物語のなかで圧倒的な存在感を放っています。その美しさと異様な雰囲気とが、駒子とともに島村をこの町に惹きつけているよう。
『雪国』に限らず、川端作品のなかで「女性の美しさ」はもっとも重要なテーマのように思えます。長編『山の音』の主人公である信吾は、不器量な娘と孫娘より、息子の美しい嫁を可愛がります。そして主人公の男性たちは、いつも傍観的で、女性の美しさを測るものさしのよう。一般的な恋愛のように心を通わせようなどとは思っていなく、あらゆる角度から女性を鑑賞しているように感じます。
「女の印象は不思議なくらい清潔であった。足指の裏の窪みまできれいであろうと思われた。」
これは、島村がはじめて駒子に会ったときの第一印象です。この一文を読んでからというもの、私にとって女性が「足裏のすみずみまで清潔そうな印象を受けるかどうか」は可成り重要になりました。そして「この人は清潔に違いない」という人に出会うと、たちまちその女性の美人度は何倍にも膨れ上がるのでした。



















