

『ともしび』全国書店で発売!
編著:シュープレス
出版:小学館
判型:A20取並製120P(カラー20P)
価格:1260円(税込)
ISBNコード:9784093882033
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東日本大震災を受け、たくさんの報道がなされましたが、教訓となるはなし、大切な命のはなし、驚くべき体験というものが、膨大な情報とともに流れ去ってしまっています。ここで、いま一度振り返り、すべての日本人が忘れてはならない体験を東北人の視点から伝えます。
宮城・仙台で被災した小さな編集プロダクション・シュープレスが、実際に見たことや体験したこと、そして河北新報、福島民友、岩手日報など地方紙の中から、ずっと語り継いでいきたい勇気・希望・心・命のはなしを厳選し、一冊に紡ぎました。
家族に"避難しろ"と伝えられなかった消防士。最愛の妻と一人娘を津波で失った。その後も捜索活動に取り組むのは"仲間といると壊れないでいられる"から。はんてん姿の男達が支え合っている/避難所の小学生が作る、いいことしか掲載しない"ファイト新聞"/"見捨てるなんて、同じ生きものとして恥ずかしい"―警戒区域となった畜舎に通い、放射能汚染で出荷できない牛を世話し続ける畜産家/"計算していては商品提供に時間がかかりすぎる"店長の独断で、商品を無償提供した西友汐見台店。その後、一時閉店を告げた張り紙には"ご恩は一生忘れない"など感謝の言葉で埋まっていた/仙台から石巻へ続くたった一本の幹線道路。救援物資を届けた帰りの人が必ず目をとめる場所に、いつからか"ありがとう"と書かれた看板が掲げられた…など


未曾有の大災害となった東日本大震災。「より被害の大きかった沿岸部の人々を支えるために仙台から元気にならなくてはいけない。経済を停滞させてはいけない。そのために、文字と写真と企画で東北の素晴らしさを発信したい」--編著者であるシュープレスの方々の熱い"東北愛"からこの本は生まれました。
私は特に東北に親族がいるわけでもなく、30歳を超えても東京一人暮らしの身の上。この震災の発生当時から、大津波そして福島第一原発の状況を、テレビにかじりつくように見続けていました。目が離せなかったのです。読者の方々もそうだと思いますが、震災直後の3月というのは、常に気持ちが緊張状態なのに、ときに倦怠感に変わったり…とても不安定な状態。被災したわけでもないのに、通常の仕事でさえ手につかない、自分ができる被災地支援も義援金を出すことくらいしかしていない……こんな自分って何なんだろう――と働かない頭でそれでも懸命に考えていました。
4月に入ったある日、私の所属する小学館出版局の編集部で隣の席に座るフリー編集者・高橋亜弥子さんから、高橋さんとお付き合いのあるシュープレスさんの状況を聞きました。シュープレスさんの顔"ボーダーこけし"を使ったグッズを制作・販売し、売上金の一部は日本赤十字社などを通して、東日本大震災の義援金として寄付するお手伝いをするのだというのです(実際発売しています)。被災者が被災者を支えている現実がそこにありました。さらに高橋さんはこう続けます。「いま東北の人は仕事がなくなっていて大変なんだそう」と。ならば、東京の出版社として、被災地の方々と一緒に"本をつくる"仕事をすることも、もしかしたら復興の一助になるのではないかと強く感じたのです。
そして、シュープレスの方々と話し合いを重ねました。被災者である彼らがもっとも危惧していたのが、震災で本当にあった教訓となること、驚くべき体験、尊い命のはなしが膨大な情報とともに流れ去ってしまうのではないかということ。いま一度振り返り、河北新報、三陸新報、岩手日報、福島民友など、記者自身も被災者である地方新聞の記事や独自の取材から、すべての日本人が忘れてはならない体験をこの一冊に紡ぎました。
本書制作の中で、私がいちばん感じたのは"東北人の温かさ"。写真の許可や記事掲載の許可を被災した方々にとる際、みなさん総じて優しく明るく朗らかにOKを出してくれました。そのたくましく力強く生きる姿に、気づけば、東京にいる私が励まされていたのです。シュープレスの方々の粘り強い地方新聞社との交渉、一生懸命かつ誠実に仕事に取り組む姿や、被災の状況を話しているときに思わず涙ぐむ様子…なんとも清々しく、人生で大切なことを学ばせてもらいました。シュープレスの板元さん、本間さん、渡邉さん、高橋さんの存在のおかげで、私にとって縁もゆかりもない東北を、気づけば深く愛していました。
本書に登場してくさった方一人ひとりの体験を、多くの方に分かち合いたい、そんな思いがこの本には詰まっています。命、心、勇気、希望――たくさんの輝く"ともしび"をじんわり感じてください。