仙台の編集プロダクション「シュープレス」がお送りす東北“おいしい”旅のレシピ『SHOE PRESs magazine』

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福島県会津若松市「なかじま」

煮込みソースカツ丼(ロース) 1000円

皆喜多亭 肉玉カレー焼きそば

その五 ~会津の空にカツ丼ラプソディが響くのであった~

 文春文庫ビジュアル版で1990年に出版された「ベストオブ丼」という本がある。いやもうこれぞ丼本の王道ともいうべき、B級グルメファンにはたまらない一冊だ。

 この本の表紙を飾っていたのは、当然の成り行きではあるが、カツ丼である。なんでもこの年は、カツ丼生誕77年という記念の年であったようだ。ということは、それから19年が経過……あと4年もするとカツ丼は生誕100年を迎えることになる。さすが丼界の巨星だ。

 私もかつては週に2度はカツ丼を食べていた無類のカツ丼好きの男である(いまは週一くらいにペースダウン)。自身の好きな食べ物ランキングにおいても、幼少期からカツ丼がベスト3をこぼれたことはない。ちなみに東京で育った私のカツ丼ライフは、カツと玉ネギを甘じょっぱい丼ツユで煮て卵でとじたもの一辺倒。

その常識が覆されたのが、会津若松で出会った「ソースカツ丼」である。

 ご飯の上にキャベツがのり、その上に大きなカツがドーンと鎮座した会津のソースカツ丼。これを初めて食べた時は強い衝撃を受けたものだ。以来、会津のソースカツ丼巡りを楽しむうちに出会ったのが、『なかじま』の煮込みソースカツ丼という新たな境地に達したB級グルメ。洋食屋だった先代の社長が手軽に食べられる「洋食風丼」を、と研究に研究を重ね、独自のソースだれを完成させた逸品である。店に登場したのは昭和25年頃というから、かれこれ60年になる看板メニューだ。

 この煮込みソースカツ丼のすごいところは、見た目は普通の卵とじ系カツ丼なのである。でも味のベースは醤油ではなくソース……これがカツにもご飯にも実によく合うのだ。やわらかな肉質のカツは、福島県鮫川村で飼育されている「健育美味豚」。ほどよい旨味があって食べやすい。カツ丼、というとかなりヘビーなイメージであるが『なかじま』のカツ丼は、ソースの香ばしさ、豚のさっぱりとした味が相まって、比較的ライトな仕上がりと言える……まあ、ライトと言ってもカツ丼ではあるので、それなりにボリュームはあるのだが。

 カツ丼は丼ツユで食べないと……そんなこだわりを持つ貴兄にも、ぜひ食べてもらいたい会津若松の煮込みソースカツ丼。丼のフタをあけた瞬間、鼻腔を刺激するオリジナルソースにノックアウトされること必至である。

……今宵もすばらしきB級グルメに乾杯!

本は旅。解説

東北のB級グルメ王
板元義和の
食べある記!

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