
青森県青森市「鶴亀屋食堂」
マグロ丼 1200円~(サイズ・ネタにより価格変動あり)

その十一
~驚天動地のマグロ丼。
そこに込められた主人の熱きマグロ魂~
「今日の昼は何食べようかな」などと、あいまいな気分のままに行ってはいけない店が、浅虫温泉にある。行くのであれば…そう、前日の夜くらいから食事を軽めにし、万全な空きっ腹状態にして、望まねばならない。」
鶴亀屋食堂。
道沿いにあるドライブインといった趣の店だが、創業から65年を数える。現在の佐藤勇氏が三代目の主人。看板メニューは、ミニ・小・中・大と4サイズ揃えたマグロ丼だ。とにかくその盛りがいい。丼から刺身が軽くはみ出る程度のものはよく見かけるが、この店のマグロ丼は、全てのサイズが比喩でもなんでもなく「山」のように盛られる。それもご飯ではなく、マグロが。
私が初めて店に行った時、何も知らず「中」を注文したのだが…出された丼を見て「どこが中じゃ!」と心の中でつぶやいたのは言うまでもない。
盛られたマグロを備えつけの小皿にとりわけ、とりあえず普通のマグロ丼の状態に持っていき食べ進む。この日は回転寿司などでおなじみのビンチョウマグロ。ほどよく脂ものっていて、うまい! のであるが、食べても食べてもなくならないマグロ、そしてどんどん減っていく米。まるで米をおかずにマグロを食べているような錯覚になっていく。「中」サイズは友人の助けを借り、なんとか完食したが、「大」などを頼んだらいったいどうなってしまうのか。
鶴亀屋食堂でマグロが出されるようになったのは、4年ほど前。青森市場を訪れていた佐藤氏に、市場関係者から「マグロが余っているんだけど使わないか」そんな風に持ちかけられたのだという。価格が安かったこともあり、すぐに仕入れを決断、丼として店に出した。価格の安さ、盛りのよさ、そして鮮度のよさですぐに人気となった。ところが、ここからが佐藤氏の苦労の始まりである。マグロの相場は安定しない。店で毎日供給するためには、赤字覚悟でも仕入れねばならない時がある。「でも、安くておいしいものをいっぱい食べたい、そういうお客さんの期待は裏切れない」と、これまでマグロ丼を続けてきた。
ちなみに盛り付けられるマグロの部位は、主人の気分次第。赤身やトロ、中おちなどが「なんとなく」ずっしりとしたボリュームになるまで盛られるのだ。特に分量も決まっていない。さらには、供されるマグロも、ビンチョウ、キハダ、メバチ、そして本マグロなど、その日の仕入れで変わる。「今日はどんなマグロが食べられるか」そんな期待に胸ふくらませつつ、驚愕のマグロ丼を食べに浅虫温泉へ行こう。
……今宵もすばらしきB級グルメに乾杯!




















