
宮城県登米市「味処もん」
油麩丼 730円

その十二
~丼つゆを吸った油麩、
それは恐るべき魔物である~
宮城県北部にある登米市登米町。「みやぎの明治村」と呼ばれ、明治・大正期の洋館建ち並ぶ素敵な町である。この町の特産が、小麦粉のたんぱく質成分であるグルテンを植物油で揚げ、健康食品としても注目集める油麩。高タンパク、低カロリー…まさにB級グルメ三昧で血中脂質が上昇している私のためにあるような食べ物なのである。
特産の油麩を使った油麩丼が考案されたのはおよそ30年前のこと。肉の苦手な方でも食べられるように、と地元の旅館女将によって考案されたという。地元で取材をしていて、よく耳にする油麩丼の説明が「カツ丼のカツを油麩に変えた料理」というもの。うむ、わかったようなわからないような…いわゆる"We can change!"ということだろうか。というわけで、まずは食べてみねば、と向かったのが元祖油麩丼の店、味処もんである。
暖簾をくぐり、畳敷の店内でまったりとしつつ、待つこと数分。油麩丼が運ばれてきた。丼のふたをとると、丼つゆの甘じょっぱいいい香りが湯気と共に立ちのぼる。むむむ、期待値は高まるばかり。まずは大振りでしっとりとした油麩を箸でつかみパクリ。醤油ベースの丼つゆをたっぷり吸った油麩のなんと香ばしいことか。世の中の丼つゆというのは、おそらく油麩と出会うために生まれてきたのであろう、そんな風に思われるほど、この相性はゴールデンである。丼つゆそのものは、醤油ベースでみりんや砂糖など、わりとオーソドックスな味付けであるのだが、恐るべしは油麩。
いわゆる、B級グルメにとってはすでに当たり前となっている「たぬきうどんの天かす的効果」が、そこにはあるのだ。油麩が含んでいる香ばしさ満点の油分が丼つゆを媒介して、夏のナイル川のごとく丼全体にあふれている、あふれまくっている。
カツ丼を食べた時のようなボリューム感はないが、肉好きの私にとっても物足りなさはまったく感じられない。むしろ油麩の健闘ぶりに熱い感動すら覚えるのである。思わず「おかわり!」と言いそうになるのをグッとこらえつつ、味処もんを出たのであった。
……今宵もすばらしきB級グルメに乾杯!
※2010年9月時点の情報です














