

『ゴールデン
スランバー』
伊坂 幸太郎 著
/ 新潮社
最後まで読まずには眠れない
いつからか、身の回りで不愉快なことが起こりだす。職場に嫌がらせの電話がかかってきたり、電車で痴漢の濡れ衣を着せられたり。でもそれは不運以
外のなにものでもない。自分は誰かに恨みを買うようなことをした覚えもないし、普通の生活を送ってきた“平凡な男”の、はずだった。
元宅配ドライバーの青柳雅春はある日、大学時代の友人に呼び出される。久々に会った友人は、何か様子がおかしい。そして、決意したように口を開いた。
「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」―――。
首相暗殺の罪を着せられた男の2日間にわたる逃亡劇。と言ってしまうと一見ハードボイルド小説のようですが、主人公はごくごく普通のごくごくまじめな人間。ごくごく普通の読者としては親近感と世話焼き心が湧き、目が離せなくなるのです。伏線が何層にも張り巡らされたストーリーや構成はもちろん、登場人物のキャラクターや会話、エピソードなど、細部までおもしろく、最後まで一気に読めます。この本を途中でやめちゃう人は、まずいないのではないでしょうか。
「俺たちってさ、ぼうっとしている間に法律を作られて、税金だとか医療の制度を変えられて、そのうちどこかと戦争よ、って流れになっていても反抗ができないようになっているじゃないですか。(中略)国家ってさ、国民の生活を守るための機関じゃないんだって。」
青柳雅春が敵に回したものは、想像を超えた権力か、国家か。この社会や自分たちの生活が、どれほど脆弱なものなのかを考えさせられて、背筋が寒くもなるのです。
この作品が発刊されて間もない頃、著者の伊坂幸太郎氏が広瀬通を歩いているのをお見かけしました。「あの頭のなかに『ゴールデンスランバー』が入っていたのかぁ・・・」と考えると感慨深く、しばらく後頭部を見守りました。
仙台が舞台の本作。地元人には「ここってあの店がモデルかしら」「あの通りかしら」などといった楽しみもあり、感動もひとしお。そして今月は、いよいよ映画公開! オール宮城ロケとあって、仙台人としてはとても楽しみです。

















