父が毎日のように公園で出会うイラン人の女性がいます。年のころは父と同じくらいで医師の息子がいます。イラン人の女性は片言の英語とペルシャ語で、父はやはり片言の英語と中国語でゆっくりと会話を重ねます。この二人のシーンが、とてもほほえましくてホッとしました。お互い子供達とは話せないのに、他人同士のほうが上手く楽しく話せるようです。このシーンが、この二人にとっても、映画を見ている私にとっても、親子関係や自分自身を客観視できる時間になっていた気がします。
 この映画を見て、どうしても原作を読みたくなりました。二人の息子さんとアメリカに住むイーユン・リー作の短編集「千年の祈り」です(デビュー作のこの短編集で数多くの賞を受賞)。原作を読むことによって映画の語りが深まり、また映画によって物語のイメージが豊かになり、より一層作品の世界に浸ることができました。原作もおススメです。ウェイン・ワン監督はこの短編を読んで映画化を熱望したそうです。
 北京生まれの原作者、香港出身の監督、中国を離れた主演俳優、日本人プロデューサーが、異文化の中で生きるお互いを理解し共感して出来た作品なのではないでしょうか。