VOL.10『ぼくのエリ 200歳の少女』
今回の“旅”は・・・
スウェーデンの寒空の下で生まれた、美しくも恐ろしい恋の旅へ。
「キャー」と叫んでしまうようなホラー映画ではなく、喜びと共にある怖さ、そんな怖さを感じたことはありますか?
ホラー映画と言われるものの、怖がらせるような過度の演出もありません。金髪の美少年オスカーと妖しげな美少女エリの出会いから 淡々と話が進んでいきます。
12歳の少年のいじめられることへの怒りと理不尽さ、その対極にあるみずみずしい恋心が描かれます。 自分では抗えない環境である両親の離婚や、学校での嫌がらせの日々に突然光がさしたように感じるエリの存在。 二人のルービックキューブでの戯れや、氷のように冷たい裸のエリとオスカーがベットで眠ったこと…。 そして純白の雪の中の木々や町の風景は、北欧への憧れさえ抱かせます。
そんな中徐々に、エリに対する疑念の点と点が結ばれ、オスカーも見ている私たちもエリがヴァンパイアであることを確信すると…。
怖いのは、ここからです。
悲しみと哀愁、恐怖がじわりじわりとやってきます。見終わっても反芻してしまうような薄ら寒さが。 原作者が言う「ハッピーエンド」な二人のラブストーリーの奥にある真実を見てしまった気がしたのは、私だけでしょうか。 今思い出しても、嬉しいけど怖くて悲しいのです。
さあ、あなたはどう感じるのでしょう。
私がラストシーンで強烈に感じた悲しさと恐怖のヒントは“200歳の少女エリの守り人とも思われる中年男ホーカンの存在”。 幸せそうなラストシーンで全てが繋がります。
10月全米公開でハリウッドリメイクが決まったこの映画、リメイク前に原作小説と合わせていかがでしょう。
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~『ぼくのエリ 200歳の少女』~
○STORY
学校で毎日いじめられていた12歳の孤独な少年オスカーが、アパートの隣に越してきた同じくらいの年のエリに恋をした。エリはぼさぼさの黒髪に青白い顔をして夜にだけ姿を現す。凍てつく寒さの中、薄手のシャツしか身につけていないエリはどこか悲しげで謎の多い少女だった。
そんなエリとの出会いを境に、町で惨い殺人事件が続発する。オスカーは毎晩のようにエリと会い、一緒にいられないときは壁越しにモールス信号で対話をするようになった。オスカーが三人組にいじめられた日にはエリにやり返すよう忠告される。エリと自分のために強くなろうとするオスカーはある日、エリと血の契りを結ぼうとする。オスカーが自分の手を切った時、したたる血を見たエリはまるで獣のように血をすすってしまう。
一方、町を震撼させる連続殺人事件の犯人として逮捕され病院で怪死を遂げた容疑者は、エリと一緒に引っ越してきたホーカンという中年男だった。中年男ホーカンとエリを繋ぐ秘密が見えてきたオスカーは、エリがヴァンパイアであることを確信する。やがて二人の運命は誰も予想もしなかった方向へとうねり出していく…。
○INFO
監督:トーマス・アルフレッドソン『Bert den siste askulden』
原作脚本:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト『モールス』富永和子訳 ハヤカワ文庫(「ぼくのエリ 200歳の少女」の原作)
制作:ユン・ノードリング&カール・モリンデル
出演:カーレ・ヘーデブラント(オスカー役)/リーナ・レアンデション(エリ役)/ペール・ラグナル(ホーカン役)
原題:『LET THE RIGHT ONE IN』2008スウェーデン / *スウェーデン・アカデミー賞5部門受賞、世界各国の80の賞にノミネートされ60受賞
配給:ショウゲー
上映時間:1時間55分 (PG12)
7月上旬銀座テアトルシネマ他全国順次公開









TV番組で映画コーナーを担当して以来、映画のとりこに。ハリウッドスターへのインタビューも多数。











