海辺の街の再起(宮城県塩竈市・松島町)

    マリンゲート塩釜の敷地内では、毎日、復興市を開催している(2012.3.3)

    塩竈は生マグロで知られる港町だ。震災後も「三陸塩竈ひがしもの」という名でブランド化したメバチマグロが水揚げされ、港に活気が戻った。5月からはいよいよ本マグロの水揚げシーズン。地もののマグロを握るのを、誰よりも楽しみにしているのは、塩竈のすし職人たちだろう。

    「塩竈のすしの灯を消してなるものか」

    「観光客は震災前の半分。夜なんてすっかり暗くて…」。そう話すのは、塩竈の寿司の名店「すし哲」の親方・白幡泰三さん。津波で店の1階が水没したが、関西から業務用冷蔵庫を仕入れるなどして、震災から約1か月半後の4月29日には営業を再開した。

    「“塩竈のすしの灯を消してなるものか”、そんな気概でここまでがんばってきたが、震災前のような活気を取り戻すには、あとどれぐらいかかるのか…。その不安はどうしようもない」とも洩らす。

    「すし哲」は、「闇市」の名で親しまれていた塩釜海岸中央卸売市場の通り沿いにある。道の反対側の入口では、兄の白幡邦友さんが「鮨しらはた」を営んでいる。人気の兄弟寿司があり、市場がある…長らくおなじみの町の風景であったが、津波によって一変した。

    壊滅的な被害を受けた市場は、今もさら地にする作業が進められているところで、今後どうしていくか、まだ決まっていない。市場にいた多くの鮮魚店は、マリンゲート塩釜にある復興市に移った。

    「ここまでいろいろな方々に支えていただいている。それに応えるためにも、がんばっていくしかない」と、親方の復興への決意はずっと変わっていない。ただ、町全体で考えた時に、復興への歩みの遅さに対し、あせりを感じずにいられないという。親方の不安は、中心部にぽっかりと現れた、市場跡の空き地にそのまま象徴されているのかもしれない。

    松島、観光復興へ

    塩竈から国道45号を車で15分ほどで松島に着く。松島湾に面した日本三景に数えられる美しい町は、震災の被害も比較的少なく、観光名所の復旧も早かった。湾内の島々に津波がぶつかり、衝撃が弱まったともいわれ、伊達家の菩提寺・瑞巌寺や海に浮かぶ松島のシンボル・五大堂といった名所も無事であった。震災後のGWには観光船も再開するなど、県内でもいち早く観光復興へ踏み出している。

    「ずいぶん観光客が戻ってきたけど、以前の7割くらい。カキはなんとか確保できていて、まだ松島産のものを出しています」と話すのは、五大堂の向かい側で食事処「南部屋」を営む蜂谷和弘さん。「南部屋」には、高さ120㎝のところまで津波が押し寄せたという。1階部分はめちゃくちゃになり、店が再開できたのは7月。

    「観光客が本当に戻ってきてくれるかどうか、それは今年の観光シーズン(5~10月)になってみないとわからない。予測なんて誰にもできませんよ。でも悪いことばかりじゃない。今年のカキはできがいいんですよ。量が減ったけれど、その分、残ったカキが栄養を摂りやすい状況なんでしょうね。実がプリプリしていておいしい」と笑みを交える蜂谷さんはどこか誇らしげだった。
    旨味たっぷりの松島のカキ、3月末頃までのシーズンが終わる前に食べに行きたい。

    2012年3月時点での情報です。

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