名産のいちごで、山元町を元気に。「工房地球村」の復興支援プロジェクト「いちごものがたり」

    宮城県山元町にある指定障害福祉サービス事業所「工房地球村」。東日本大震災のあと、町の特産・いちごを生かした商品作りや、憩いの場としてのカフェ運営など、山元町の復興のための取り組みを続けています。

    復興支援プロジェクト「いちごものがたり」

    宮城県南地域の沿岸部に位置する山元町。東日本大震災では津波の被害が大きく、特産品のいちごも、農家の95%もが被災するという甚大な被害を受けました。
    その山元町にある「工房地球村」は、通所型の障がい者支援施設。毎日20名ほどが通い、職業訓練などを行なっています。内陸部にあるため津波は免れたものの、当初は各自が日々を生きるのに精いっぱい。全国から駆けつけたボランティアや医師の支援を受け、施設の運営を再開できたのは、震災から2ヶ月後のことでした。

    その頃、以前イベントで知り合った、障がいをもつ人たちのアート作品を生かした商品づくりを行なう「エイブルアート・カンパニー」から「私たちにできることはありますか?」と支援の申し出が。その3ヶ月後には実際に「工房地球村」を訪れ、“山元町の大好きなものを描こう”というワークショップを開催してくれました。

    施設のメンバーが描いたのは、町の特産であり、誇りでもあったいちごやりんご。このイラストが多くの団体の支援を経て、手ぬぐいの柄やせっけんのパッケージとなったのです。自分たちの絵が素敵な商品に生まれ変わり、施設のメンバーにも笑顔があふれました。

    こうして、いちごに復興への思いを託したプロジェクト「いちごものがたり」がスタート。手ぬぐいは全国で5000本以上を販売し、山元町を発信するアイテムとして活躍しています。

    いちごへの愛情をジャムにたっぷりこめて

    山元町の復興支援のために始まった「いちごものがたり」。もうひとつ、いちごジャム作りにまつわる物語があります。 「工房地球村」では、震災前からいちごジャム作りに力を入れていました。素材はそのまま食べてもおいしいいちごのみを使い、1粒ずつヘタをとって、約2時間煮詰めて作るジャムは看板商品でした。しかしいちご農家の被災により、震災後は製造中止を余儀なくされます。

    立ち上がったのはスタッフの1人、橋元洋平さん。なんと、未経験ながらいちご農家への転身を決めたのです。「地球村の復興はみなさんに託します。自分は町の未来のために、いちご作りを復活させます」との力強い言葉を残し、農業生産法人株式会社GRAを設立。IT技術を駆使した農業を行ない、山元町のブランドいちご「ミガキイチゴ」の生産を始めました。

    諦めかけていたジャム作りは、GRAをはじめいちご生産を再開した農家からの提供を受け、2012年5月に復活させることができたのです。自然の甘みがギュッと凝縮したジャムには、山元町の人々の、いちごを愛する気持ちがたっぷり詰まっています。

    手ぬぐいやいちごジャム、ジャムを使ったクッキーなど「いちごものがたり」の商品は、オンラインショップをはじめ、町内の産直所や県内各地でのイベントでも購入できます。ぜひチェックしてみてくださいね。

    カフェが地域の憩いの場に

    「いちごものがたり」のほかにも、町の復興を願って始まったのが、施設の駐車場に2012年11月にオープンした「カフェ地球村」です。 震災後、ボランティアの医師の1人が、全国の医師仲間から寄付を募り「地球村の発展のために使ってください」と託してくれました。

    そこで、施設の近くに多数あった仮設住宅に住む人々が集える場として、トレーラーハウスを利用したカフェを作ることに。通所者の働く場や、全国から来てくれるボランティアと町の人が繋がる場としての役割も担い、ほっとひと息つけるスポットになっています。もちろん一般の人も利用でき、コーヒーやアップルパイ、アフォガートなどの本格的なメニューがそろうので、山元町を訪れた際には立ち寄ってみてくださいね。

    この日お話を伺ったのは、施設スタッフの小泉さん。震災後の「工房地球村」の歩みを通じて、“受援力(支援を受ける力)”を高めることの大切さを実感したといいます。

    「今後の活動の目途が立たないと言ったら、新商品作りに手を貸してくれて、カフェをやりたいと言ったら、トレーラーハウスを寄付してくれる人がいました。自分が今何に困っているか、恥ずかしがらずに伝えれば“それなら手伝えるよ”と申し出てくれる人がいます。東北人気質でつい遠慮してしまいますけど、支援を生かすためには、受け入れる側が状況を積極的に発信することが大切なんです」と、震災復興の教訓を教えてくれました。

    「地域に支えられた施設だからこそ、地域への恩返しがしたい」という思いで活動を続けてきた「工房地球村」。震災からもうすぐ6年、山元町の復興へ向けての歩みはまだまだ続きます。

    ※2017年3月時点での情報です。

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