仙台の編集プロダクション・シュープレスがお届けするWebマガジン
ライフク実行委員の藁谷郁生さん(左)と藪内義久さん(右)。おふたりとも福島市内のショップで働きながら、ライフクの活動を精力的に続けています
LIFEKU(ライフク)、というプロジェクトをご存じでしょうか?
漢字で書くと「来福」。
そう、福島に来る、福が来る、福島に暮らす……そんな意味が込められたプロジェクトは、2011年3月11日の東日本大震災後、福島で発足されました。
中心となったのは、福島で暮らす商店の方々。
LIFEKUのメンバーのひとり藁谷郁生さんが働く、福島市の「PICK-UP」を訪ねたのは、今年の夏のことでした。
「今度、こういうの作ったんですよ」訪ねてすぐ、嬉しそうな笑顔と共に、藁谷さんが見せてくれたのは“フクシマナビ”という一枚の地図。そこには福島市内の飲食店や販売店などが、見やすくかわいいデザインの地図に組み込まれていました。
地図にはLIFEKU参加店だけでなく、たくさんのショップが掲載されています。福島を訪れた(来福した)方に、買物をして、おいしいものを食べて……福島のよさを楽しんでもらいたいと、作られたものです。
福島原発の事故以降、やや閑散とした感のある福島を活性化させようと、LIFEKUメンバーたちは、がんばっています。
そして、メンバーの方々は、ああしよう、こうしようと、取り組むべき道にまっすぐ向かっています。
それでも状況は大変です。
藁谷さんと同じようにLIFEKUメンバーのひとりで、福島市内で「OPTICAL YABUUCHI」を営む藪内義久さんは「市内は少し閑散としていますよね。でもぼくらはここで働いています。よその土地に行けませんし行く気もない。だからLIFEKUのメンバーたちといろいろ話し合い、福島をよくしていくためにはどうすればいいか、という考えに向かうのかもしれません」と話していました。藪内さん自身、震災以降、奥さんとお子さんが山形へ避難しており、家族と離れて暮らしています。
週に一回、家族に会うことが藪内さんのいちばんの楽しみだそうです。
LIFEKU(ライフク)プロジェクトには、「協力・共存して、商業振興と社会貢献を行い、福島のセンスとスタイルを伝える」というテーマがあります。
具体的な形となったのが、4つの想いを形にしたピンバッチ「F-pins(エフピンズ)」です。デザインは、東京在住のイラストレーター藤本将氏に依頼。出来上がった4つのメッセージは、「子供たちの未来」「福島からのメッセージ」「これからのエネルギーを考える」「自然の大切さ」を表しています。販売代金から必要経費を除いた金額を、福島のために寄付していこうという主旨のグッズです。
実際にLIFEKUでは、「たまきはる福島基金(ふくしま原発避難子供・若者支援機構)」への寄付も行っています。
また、福島県の形をかたどったうちわ「FUKUWAUCHI」も、LIFEKUが手掛けたグッズです。1000年以上前から二本松市に伝わる伝統の上川崎和紙を使い「福を呼び寄せるために、風を起こそう」というメッセージが込められています。
「それぞれが無理をせずに、少しだけ自分の時間を削り、LIFEKUは活動を続けています。先は長い。これからもいろいろな方とつながりながら続けていきたい。そして、その先に元気な福島があってくれれば」。今年の秋、仙台に来た藁谷さんは、そう話していました。
LIFEKUでは、今後もグッズ販売のほか、イベントなども積極的に手掛けていく予定です。
これからもたくさんの人が「来福」を楽しみ、さらにはLIFEKUの活動を応援したり情報を発信しながら、LIFEKUと思いをつなげていくことでしょう。
2012年10月時点での情報です。